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093:Stand by me



Stand by me
「私の側にいて」

ビートルズの、歌。

部室で、口ずさむ。
夕日を、見る。
真っ赤な、夕日。
身震いをする。
不安になる。
赤い、赤い、夕日の中で。

逢魔が刻。

日本に伝わる、古い、言い伝え。


      □


「ねぇ。しらない?」
誠二に聞く。
「なにそれ?それってー・・・もしかして、もしかしなくても、これ?」
今にも白装束をかぶりそうな勢いで、誠二がおどろおどろしくいう。
だめだこりゃ。
さじを投げて、誠二の保護者に聞く。
「渋沢先輩。知ってます?」
誠二の優しい保護者は穏やかに答えてくれる。
「逢魔が刻だろ?」
知ってるよ。という。
身を乗り出した俺の襟首を、つかむ大きな手。
「おい、俺に聞くの忘れるなよ」
べ、別に、忘れたわけじゃ・・・。
しどろもどろになる俺。
「じゃー、なんできかねんだよ」
不服そうな三上先輩。
まあまあ、と間に入ってくれた渋沢先輩は、三上先輩を立てる。
人間が出来てるよなーと思う。
「で?三上の逢魔が刻はどういう意味なんだ?」
渋沢先輩が話を進める。
誠二は渋沢先輩のひざの上。
「逢魔が刻って言うのは、四時とか五時とか、今みたいな時間に辻を魔物が通るんだとさ。
それで、色んな魔物が出逢う時間だから、魔物が逢う刻、となったわけだ。
人間も、この時間に過ちを起こしやすい」
そういって、俺をじっと見る。
「な、なんすか」
尚もじっと見る。
「わかったか?」
「・・・?は、はい」
そして、がばっと抱きついてくる先輩。
「うぎゃぁぁぁぁ〜!」
渋沢先輩は、目が点に・・・。
誠二は渋沢先輩を期待のこもった目で見てるし。
だれかぁ!たっけて〜!!
「・・・ま、こういうことだから、渋沢」(にっこり)
「でてけ」
いぃやぁ〜!
でていかないでぇー!!
そして、ドアは無常にも閉まり、部屋の中には、鬼畜になった三上先輩と、俺が残された。
BGMはStand by me「私の側にいて」。


―――――――――あとがき。

・・・あのぉ〜、Stand by meってこんなんでいいんでしょうか(聞くな
もういいや。
しーらないっと。
わたし、しーらない。


20030712 up。

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